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教会

教会

町の中心にある教会。 中に入って、お祈りの蝋燭を灯した。 プロエルメルはブルターニュ地方にある小さな町で、人口は一万人ほど。 電車は通っておらず、高速バスで他の町へ行き来する。 バスの窓から、麦畑や森の中にぽつぽつと在る、いくつかの小さな町を眺めながら辿り着いた。 私はこの教会を中心に集落が出来たのかな、と立派な建物を見上げて思いを巡らす。他の町も同じように人が集まって町が出来たんだろうか。 遠い昔、森にはオオカミが居たのかもしれない。 朝の7時を始まりに、鐘の音が町に時を教えてくれる。 毎週金曜日には、市場が立つ。肥沃な大地で作られた野菜、果物、お肉やチーズ、魚介類などが売られる。どれもこれも新鮮で、特に魚介はぴちぴちで綺麗。まだ動いているテナガエビや小粒のムール貝が盛られている。 注文を受けてから強面のおじさんがスライスしてくれる生ハム。 買いに来るのは年配の方が多く、みんな大きくて丈夫なエコバッグやカートを持参する。 新鮮なリンゴや大きな房のブドウ。背中の曲がったお爺さんがどっさりと買った果物をエコバッグへしまうのを隣で驚きながら盗み見する。きっと彼やその家族の1週間分のお

プロエルメル

プロエルメル

パリから高速列車とバスを乗り継いで Ploërmel まで そこで何か出会えるかも また来たいと感じる場所を求めて 古い建物の屋根裏にある小さな部屋 そこが数日間の私たちの帰る場所 通りには百日紅の花 可愛らしいフラッグ ちょっとした楽園だね ヨーロッパにも熱波が訪れた夏 町の人たちは夕方からテラス席に集い 友人と、家族と、赤ちゃんも連れて グラスに入った飲み物で いつまでも明るい夜を楽しむ キャミソールや花柄の軽やかなワンピース 店の外まで流れる音楽 語らうことはたくさんある

she

森のなかで開かれた従姉妹の結婚式 家族と一緒に来れて嬉しい ウェディングドレスを着て幸せそうな花嫁 黒いドレスを着た私は、ヒールが滑らないように 階段の手摺りを握る 5月の雨でコンクリートの階段が光っている 隣に居た祖母の肘に軽く手を添える 腕を組むみたいに 私より背の低くなった彼女の装いは 白いサテンのツーピース たくさんの青い薔薇と英字がプリントされている どこでこんな服を買うんだろうって マジマジと見る でも祖母が着ると違和感なく見えるから不思議 私は祖母からいつも意地悪を言われて ほんと大嫌いだったけど 今日はせっかく幸せなんだし お互い転ばないように 手を貸してあげる

走りことについて考えたときdestinyが思うこと

ひとつ息を吸って 短い息をふたつ吐く 今日の自分の重みを確かめる 右膝が痛かったり 肩甲骨や骨盤まわりの強張りに気づく 速く走ろうとして 息をたくさん吸ってしまうと 過呼吸で苦しむ 吸いすぎない程度の速さを意識すること もしコースを1km延ばしたければ いまより少し楽に呼吸出来る速さで走る 私はせっかちだから ずっと知らなかったんだけど 何事も 長く続けたければ 遠い先のゴールまで続く呼吸を探すこと ペース配分と言う概念 きっとほとんどの人は知ってたんだろうなって 走りながら思った

欠けた街

欠けた街

古いショッピングセンター。 ガラス張りの入り口。重い扉を押して中に入って行く。 夕方であることを差し引いても、店内は暗い。サングラスをかけたまま入ってきてしまったかと勘違いをして、私は思わず顔に手をやる。 本屋を見つけて、並べてある商品をひととおり眺めてみる。並んだ単行本の背表紙や絵本のコーナー。 ため息が漏れた。この建物の中に私の探しているものは何ひとつない。 私は諦めて、河川敷に置いてきた車まで戻ることにした。 ショッピングセンターから寂れた暗いアーケードへ出る。通りにはシャッターの降ろされた店が並んでいる。私は自分がどちらの方角から来たのか自信がなくなって、建物の間から遠くの景色を確かめる。 おそらくこっちだろう。静かな通りをとぼとぼ歩く。 しばらくすると、前から女性と男性が歩いて来る。それぞれ仕事帰りの様子で、地味なロングコートに事務鞄。鞄の重みのせいか、それとも疲労のせいか、二人とも首や肩がぐったりと下がっている。 「河はこっちですか?」 と私は大きな声で問いかける。 女性の方が、 「そっちで合ってるよ。」 とぶっきらぼうに、でもその方角に頭を傾けながら教えてくれる。 二人は

Mimoza

Mimoza

白亜の壁から溢れたミモザ 新しい季節の陽だまり 小さな公園のベンチに掛けて 満たされた息を吐く 広場の奥にたくさんの植木鉢を見つける 和洋折衷 気まぐれに選ばれた花々 植えたのはどんな人なんだろう 私は自分の庭を思い出す 少しずつ植物が増えてゆく あの小さな黄色い薔薇 帰ったら水をあげよう Mimosa spilling over whitewashed walls, sunlit warmth of a new season. Sitting on a bench in a quiet park, I breathe out, quietly fulfilled. Potted plants tended by someone’s hands, flowers chosen on a whim — a blend

in morning

in morning

春みたいに暖かい日。 朝日が差し込む静かな家。 物があまりない、簡素な寝室を眺めて思い出だす。 引っ越しの前に捨てた、重たいフォトアルバム。大切に持ってたドレス。 それから、彼の優しかったところ。 いろんな事を手放すんじゃなかったかも。 そんな風に考えるのは、いまの私がすこしだけ幸せだからかもしれない。 ずっと苦しかったのに。いまになって良かった事ばかり取り出して。 ほんとに記憶も感情も、曖昧で勝手なものだな。 光のなか。ゆっくりと息を吐いて。 私は新しい1日のために支度を始める。 28th February 2026 #microfiction #momentsinmotion

コンビニアイス

コンビニアイス

今日は出掛ける予定だった。 前から楽しみにしていたのに。 夜中からお腹が痛くて、悪寒がして、頭まで痛い。 夕食で食べた牡蠣にあたったみたいだ。 外出どころではなく、布団にはいる。 どんなに温めても体が冷えるし、みぞおちに痛み。シクシクと痛みは寄せては返す。薄気味悪く浮いた指の血管。 ひとり寝転んでいて浮かんでくるのは、思い出したくない事ばっかりだ。 そして、過去の選択は間違ってたかも、とか。 私の未来に希望は持てるのか、とか。 後悔と懺悔大会。 でも、昼過ぎには寝室に飽きて、痛み止めを飲み、車に乗り込む。とりあえずコンビニに入って、可哀想な私にアイスを買った。 車に戻って、黙々とアイスを食べる。 チョコミントはずっと大好きな味。 窓の外では、春一番の風が吹き荒れている。 どこにでもありそうな片田舎。眩しい午後の光。 飛ばされてゆく白いビニール袋を眺める私は、意外と強くなったんだなって笑った。 22th February 2026 #microfiction #momentsinmotion #convenienceicecream

Poodle Routine

Poodle Routine

トイプードルを1週間預かっている。 散歩、ブラッシング、目薬、ご飯。 その子のお世話が1日の流れに加わった。 次の春から、自分の自由な時間が増える。 どんな感じになるか、すごく楽しみにしている。 生活は、任務や役目と色んなルーティンの重なりで出来てたのかって、今になって考えられるようになった。 5th February 2026 #slowjornal #dailymood #poodle #routine